私、子どもできたけど、どうしよう~子どもについて、本音で聞かせてください!~ 犬山紙子

私、子どもできたけど、どうしよう~子どもについて、本音で聞かせてください!~ 犬山紙子

犬山紙子 イラスト=箕輪麻紀子

第2回 子どものいない友人たちに話を聞いてみた
~Aちゃん(独身・30歳)、Bちゃん(既婚・37歳)の場合~

「そういえば、私の友達で子どもがいる人って少ないなあ」
子どもを欲しいと思ってから、ふとそんなことを思うようになりました。

ええと......ここ5年間で仲良くしている女性30人くらいのうち、子どもがいるのって3人くらい。
友人たちの年齢層が30代前半から後半と考えると、東京であることを考慮してもきっと平均より少ないであろう。

 (もちろん子どもがいる人とは仲良くならない! なんてやっているわけではない)

しかし、そんな友人たちも、私と同じように色んな事を思い悩んでいるのは間違いないわけで。
いま私が頭グルグル悩ませているように、子どもが欲しい・欲しくないのどちらにせよ、彼女たちも自分の状況や自分の未来を考えに考えていると思うのです。
(だからこそ、相手の事情も知らずに早く子どもを産めとかクソバイスしてくる輩には滅びの呪文を唱えたい)

そこで湧いてくるのは「子どもがいない友人は、子どもを持つことについてどう考えているのだろう?」という思い。
みんな子どもを産むリミットを突き付けられながら、一生懸命働いている。

私にとっては同じ状況の人たちがいるというのは非常に心強く、彼女たちがいなかったら「この年齢になって子どもを産むかどうか悩むなんて大丈夫なんだろうか」って追い込まれていたと思う。

でも、そんな友人たちも本当はどう思っているんだろう。

これまで集まった時にダラダラ子どもについて話したこともあるけれど、それぞれ関係性や立場があるので、お互いに本音はなかなか話せなかった。

「子どもについて考えていることをよかったら聞かせてほしい。ただし、めちゃくちゃプライベートな事を聞くので、もちろん答えなくてもいいからね」と、仲のよい友人達にメールしてみると、ありがたいことに数人から返事が来た。


「子どもが欲しい」
Aちゃん(独身・30歳)の場合
とあるフリーのスタイリストのAちゃん(独身・30歳)は「子どもを欲しい」という。
Aちゃんは海外に渡り、めちゃめちゃ厳しい有名スタイリストの弟子を6年間やって(「モンキー」だなんて差別的なあだ名をつけられても、耐えて勉強しぬいた女である)、日本に戻り、現在活躍しまくっている女性。お酒が大好きでよく笑い、会うと恋愛の話をよくしている。
そんな彼女は「子どもが好きで家族が欲しいから。友人が子どもを産んだ姿を見ると素直に羨ましいと思う。母親の顔になって子どものために人生を送るって素敵な事と思うし」と意見がはっきりしている。
私だと自分の仕事に自信がないから「子どもが産まれたら仕事をセーブしなきゃいけなくなるよ? セーブしている間に仕事がなくなるかも」とか思ってしまうけど、彼女は6年間修業して手にした自信がしっかりある。きっとセーブしている間に仕事がなくなるなんて、そんな不安を吹き飛ばすほどの自信なのだろう。
だから、こんなにはっきりと「子どもが欲しい」と言えるのかもしれない。
子どもができても働きたい?と聞くと「もちろん」とのことである。
うーん、Aちゃんのおかげで自分がいかに仕事に自信がないのかが浮き彫りになった。


「子どもは欲しいと思わない」
Bちゃん(既婚・37歳)の場合
会社所属のヘアメイクのBちゃん(既婚・37歳)は「子どもは欲しいと思わない」と書いたあと、「でも、絶対いらない!とキッパリ言える感じでもない」と文字を連ねる。
彼女はいつも朗らかで楽しそうな空気を身にまとっている女性。ファッション大好きで、いつ会っても違う攻めたファッション。そして、彼女のインスタを見て「また海外旅行に出てるのか」と気付くこと多々、多分年間6回は海外に行っているのではないだろうか。趣味に生きて、その姿が非常に魅力的な女性である。

そんな彼女がなぜ子どもを欲しくないのかは「そもそも子どもがそんなに好きではないし、自分の生活レベルやリズムが狂うのが嫌。経済的、体力的(産むのではなく育てる体力)にも自信がないな」とのこと。今の自分の生活をとても大切にしているからこそ出る言葉だろう。

「もし、子どもを産んでも働くと思う。子どもとずっとふたりでいるより、きっと自分の時間が欲しくなるし、経済的にも働かなくてはいけないと思うし。『産んだらなんとかなるさ~』って言ってる友人達の子どもは、まだそんなにお金のかからない小学生くらいなので鵜呑みにもできないしね」
ああ、これ、これです。私も、子どもにかかる費用が3000万とかなんとかよく聞いて、めちゃめちゃ不安に思っているやつ! 自分1人生きるだけでも精一杯なのに......。

そして、子どもを産んだ友人を見てどう思う?との問いには、「大人だけの時間がなかなか持てなくなるのか......と。自分が本当に行きたいところや食べたいものではなく、子どもの好きそうなところになってしまうので、それが私の場合ストレスになるんじゃないかと思ってしまう。ただ、みんな子どもは可愛いと言ってるので、産んだら変わるのか?とも思う。けど、試しに産んでみよ!とはできない」
ううーん、このBちゃんの気持ちは結構私にリンクするものがある。
趣味が大事で、子どもがそもそもそんなに好きじゃなくて、お金に不安があって、でも自分の子どもはやっぱりかわいいんだよね? 子どもを産んだ友人は大変そうだけど、凄く幸せそう、と気になっている感じ。

そうか、わたしは自分の時間を大事にしたいし、子どもを育てることに対して経済的な不安がすごくあるんだということが、Bちゃんの話を聞いてわかった。

女だからといって子どもを産まなきゃいけないわけじゃない。
Bちゃんのように、自分の時間を大切にする人生もある。
私は、子どもが欲しいという方向に傾きつつある今でも「やっぱり産まない人生の方が自分には合っているのでは?」と思うことがまだあって、それは今大好きな趣味に浸かって最高に幸せだから。この時間がなくなるかもと思うと迷いが生まれてしまうのです。

でも、子どもと趣味を両立させることだってできるかもしれない。
どうしたら時間をうまく振り分けられるのか、自分の時間が作れるのか、その方法もこの連載では聞けたらいいなあ......。

この2人はバラバラのタイプだったけど、話を聞いたら、私自身の持っている不安や悩みがけっこう浮かび上がった気がする。

次回は、もう1人の友達の話を聞いて考えたことです。