第4回 ゲッゲッゲッ、外道か? 男色は香りの中に −アリラン・プレスリーの朧げな告白(4)

先輩をめぐるドラマ―ハッテンしない韓流エピソードその2 終了

 

 一ヶ月ほど経ったある日、店に崔先輩から電話があった。
 崔先輩は渡日前のかの金銭トラブルを改めて詫びたが、その時により詳しい話をかいつまんでした。どうやら、間に、日本の暴力団組織の一員を名乗る者が介在しており、その者が属する、或いは居住するのが下町方面に当たる、皇居より東側にやや行った方面で、その男には我ながら情けないが実にウマいこと騙された、との打ち明け話であった。
 アリラン・プレスリーは、「皇居より東へやや行ったところなら、今、自分が歌ってる店もその地域に入るのではないかと思いますので、先輩にかわって、その男を見つけ出し、自分なりに只では済ませません! 見つけて二度と立ち上がれぬ様にぶっ飛ばしてやります!」と一瞬熱くなって、「ああ、もうええから、ええから」と制する先輩に対して、強硬に、「いや先輩、自分が必ずその男を見つけ出して締めてやりますから!!」と言って、拳を握りポーズを決めると、電話を切った。が、受話器を置いたところで、このエピソードは実質、終わった。

 

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根本敬※ この写真はイメージです。

根本 敬 NEMOTO Takashi

1958年6月、東京生まれ。1981年、異色のコミック誌『ガロ』(故・長井勝一氏編集)で、漫画家デビュー。以後、特殊漫画家を自称。音盤制作、文章、映像と漫画以外の表現を仕事としつつ、尚も漫画家を名乗るのが“特殊漫画家”たる由縁である。主な漫画作品に『生きる』、『豚小屋発犬小屋行き』、文章作品に『因果鉄道の旅』、『真理先生』がある。最近、蛭子能収氏、佐川一政氏らとハッテンバ・プロダクションなるものを設立し、ある企みを抱いている。