第4回 風水ガールズトークに潜入

 開運にアグレッシブな人が取り入れている風水。しかしこだわっていくうちに台所のガスレンジのつまみの向きまで考えなければならない域まで行ってしまったり、水回りのリフォームが必要になったりと素人にはハードルが高いです。
 ちょっと前に、初心者向けの風水講座が開かれたので行ってまいりました。1990年代、ディスコでお立ち台クイーンとして一世を風靡した荒木師匠が、いつの間にか美魔女の魔女部分がバージョンアップされ、スピリチュアルリテラシーの高いお方になられていました。そのお友達の美魔女、川島真紀さんとの「開運風水部屋」セミナーです。木場の荒木師匠のサロンに行くと、お二人の美魔女の美しさはもちろん、集まった女性たちの女子力の高さに圧倒されました。ピンクや白を取り入れたファッションやネイルで、艶やかなロングヘア......。スカーフを膝にかけている奥ゆかしい女子もいます。テーマが恋愛運や結婚運にも効く風水ということで、皆さん女性としての意識が高いのが伝わってきます。風水は部屋以前に自分の服装とか髪や肌のケアをすることがマストかもしれないと思えてきました。インナー風水、肌風水がおざなりな自分を反省。
 川島さんは、20年前にご実家を建て直した時に風水の知識を学んだそうです。対して荒木師匠は、運気を上げたくて一時は「吉方位取り」にハマっていて、今月は南が吉なら南に旅行していたとか。たしかに運気は上がったそうですが、そもそも旅行が好きではないというのと、旅費がかかるというので、吉方位取りよりも効率が良い開運法を探していたら、風水にたどり着いたという流れだそうです。
「風水は中国4000年の歴史がある、気の力を利用した開運法です。衣食住を気持ちが良いものに改善することで宇宙のリズムと調和し、本来の力を最大限に発揮できます」と、荒木師匠。ジュリアナの扇子も考えてみれば、気を循環させるアイテムのようです。
 川島さんによる、風水豆知識の伝授がありました。
「気は、玄関から入って反時計回りに家を巡ります。家の中の気は血液と同じ。物がゴチャゴチャしていると乱れます。鏡を玄関に向けて置くと気をはね返してしまいます。人物画も同じくはね返します」
 玄関に鏡は良いのかと思っていましたが、風水的にはNGだそうです。身だしなみは、マンションのエレベーターに鏡がある人はそこで整えたら良いかもしれません。
「どの方角に何を置くかによって変わってきます。北の方角は冷えるので黒いものはやめたほうが良いです。ピンクなどが良いでしょう。妊活中の方にもピンクがおすすめです。結婚したい方は南東を大事に。明るい緑がおすすめです」
 あとで帰宅したら無意識のうちに南東に黄緑色のノートを置いていました。そんな些細なことでも良いのでしょうか。
「東にテレビなど音の出るものを置くと良い情報が入ります」
 そして重要なのは寝る時のベッドの向き。
「人生の3分の1は睡眠です。寝ている間に良いエネルギーを吸収しなければなりません。良いエリアに頭を向けましょう。気は北から流れるので、実は北枕は安眠できて良いです。西もOKです。南枕はアーティストや芸能関係の人におすすめです」
とのこと。ところで以前、雑誌「VERY」の「家族風水」という記事で、一緒に寝ている家族と運気を分けあうことになるので、別々に寝た方が良い、と書かれていました。親子3人で川の字になって寝ると得られる運気は3分の1......。結局、スペースに余裕があるお金持ちが、充分なエネルギーを得られるというのなら、不公平です。
 一緒に寝る人同士の相性も関係しているように思います。風水の陰陽五行説では「相生(そうじょう)」「相剋(そうこく)」といった、生まれ年で相性の関係を表す言葉があります。「相生」は、相手から吸い取られる場合があって、油断できません (例:「水」は「木」を育てるので木は強くなって水は弱まる。お互いに力を弱め合う「相剋」の相性なら、一緒に寝ないことでお互いのエネルギーを守れます。風水を取るか、夫婦仲を取るか、究極の選択です......
 セミナーでは「寝室にPCやスマホを置くと気が乱れます」というアドバイスもありました。どうしても寝る直前に気になったことを検索してしまうのですが、たしかに寝覚めは悪いです。
「電子レンジも気を乱すので思い切って捨てました。今は鍋で温めています」と、川島さんはおっしゃいました。
「おかげさまで二人とも夫婦仲は良いよね。お互いエネルギーを補充し合ってる。でもたまにエネルギーを吸う男いるよね。お金もあって顔も良くてセクシーだけどエネルギーを吸う男とか。絶対結婚しない方がいい」と、荒木師匠。そこはかとなく実感がこもっています。「環境も一緒にいる相手も大事」と川島さん。
「盛り塩は、スポンジのように邪気を吸い取るけど、交換するのが面倒なのでおすすめしません」
「キラキラ光るものや水晶やひょうたんなどを置くのがいいです」
「あと、トイレ掃除をすれば手っ取り早く運気アップ」
「美容、健康、妊活に影響あります」
「トイレに窓があるとベストですね」
「トイレでLINEを送るのは悪い気が乗るのでおすすめしません」
「空気が淀んだら音叉の音で浄化できます」
「大きな音で手を叩いても良いですね」
「観葉植物やお花を置くのも良いです」
「でも植物を置きすぎると家を乗っ取られて誰が主人なのかわからなくなってしまうので注意しましょう」
50代女性で大量のアヒルのおもちゃを無意識のうちに集めていた人がいました。孤独運が強くなってしまいます」
など......尽きない美魔女の風水トーク。そして二人の具体的なアドバイスを真剣にメモする参加者たち。方角の話もありましたが、「トイレ掃除」「手を叩く」「観葉植物」など、手軽な方法がありがたく、記憶に残りました。「全部を網羅するのはムリ」と師匠も言っていました。
 汚くてごちゃごちゃした家は悪い運気を呼ぶ、という話を受けて、荒木師匠の「寝癖にジャージ姿だとセフレにされる。きれいなお姉さんは大事に扱われます」という言葉が心に刺さりました。
 このセミナーの後、玄関に観葉植物を置いてみました。すると、元気だったシェフレラの葉っぱがどんどん茶色く変色し、落葉......。どれだけの邪気が玄関から入っているのか恐ろしくなりました。もしくは私についていたものが......。観葉植物がかわいそうですぐに移動させました。
 風水に対して焦りが芽生えていたある日、有名なインテリアデザイナーの展示に行きました。東京オペラシティアートギャラリーで開催された「片山正通的百科全書」という充実の展示で、片山氏が収集し部屋に置いていた膨大なコレクションが並んでいました。観葉植物も膨大でしたが、暗いタッチのアート作品、いわくありげな骨董やお面、そしてクマやトラ、キツネなど多数の剥製もあり、風水的にはNGとされている物も多いです。それでも、片山氏は大成功を納めている......才能やエネルギーが風水を上回ったのでしょうか。風水は、最初から信じていない人は強い心でそれを貫いた方が良いかもしれません。一度気にしはじめるとハマってしまいます。すでに龍の置物を購入した我が身を思いつつ......

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女子会っぽい空気でピンクのオーラが充満していそうなサロン。この場所も改装を重ねて良い運気を呼び寄せたそうです。

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玄関に置いたらすごい勢いで枯れていくシェフレラ。買ったお店の人も、丈夫な種類だと言っていたのですが......

レベル 
初中級

●口癖
ドライフラワーは風水的にNGだから。
死んでいるので陰の気を放つそうです。風水を知っている人が言いがちな豆知識。


仲良くなる方法
「やっぱり長財布だよね」と、お財布を見せ合う。風水師がよく推奨しているのは、お札にとって快適な環境の長財布。財布のデザインや色に気を使う風水女子なので、今年の開運カラーや一粒万倍日(いちりゅうまんばいび)の話などでも盛り上がりそうです。

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